中期事業計画

中期事業計画(方針)

平成 25 年 12 月 7 日

中期事業計画(方針)

日本ボーイスカウト千葉県連盟

1. はじめに

本県連盟内のスカウト数が減少を始めて10 年以上が経過する。平成 15 年の 7047人から比較しても平成 25 年で 4783 人にまで減少しており 30%以上の減少である。 すでに半数の団で複数の班が構成できず班制教育を活用したスカウト活動が出来ない状況が続いている。

平成 21 年に日本連盟が長期事業方針を策定しているが、残念ながら県連盟としてそれらに対応した方針を策定していない。
今、ここで中長期を見据えた方針をたて、県連盟として今何をなすべきかを検討し、県内すべての団、地区とともにスカウト運動の再生を図らなければ県内のスカウト運動は消滅してしまう危機にある。
スカウト運動の現状をしっかりと見据え、正しいスカウティングが実行できるよう計画をたてて行かなければならない。

2.県内スカウト運動の現状と背景

(1)現在のすがた、課題
千葉県内の幼稚園児・小学生・中学生数の推移を見てみると平成 15 年比で園児は 3.1%減、小学生は 1.3%減、中学生は 0.8%の減であり、少子化と言われているが短期・中期ではほぼ横ばいか若干の減少と言って良い。
一方、スカウト数は同じ平成 15 年比で 32.1%減であり、ビーバースカウトは 36.6%減、カブスカウトは 40.3%、ボーイスカウトは 27.7%減と大きく減少している。

10 年の間にほぼ同じ率で減少しており、特殊な要因がある訳ではなく社会からの認知度や期待が減少しているのと同期していると考えられる。

団の現状

団のスカウト登録数で、30 人以下の団が全体の44%(51 団)、この状態が続けば数年以内に団経営が立ちゆかなくなるスカウト数11~20 人の団が18%(21 団)、存続が危ぶまれるスカウト数10 人以下の団が7%(8団)ある。スカウトの登録数が30 人を下回ると団の経営上も困難になると思われる。

BVS 隊の現状

スカウト5人以下が64%(66 隊)で、そのうち3 人以下の隊が43 隊で全体の42% となっている。このことは、例えば活動を見学に来た保護者にどのように映るのか?
沢山の子供が楽しそうに群れて遊ぶ様子を見せられないことは大きなデメリッ トとなる。
兄弟が少ない家庭では、子供達に集団の中での順応性を身に付けさせたいと願う保護者がボーイスカウトなどに参加させる場合も多く、体験や見学会を行うときにスカウトが少ないことが募集に与える影響は少なくないと思われる。

CS隊の現状

スカウト9 人以下の隊が全体の50%(55 隊)、そのうち一組編成となる5 人以下が22%(24 隊)となっている。 一方でスカウト数に対して成人指導者の登録が少ない隊も散見され、デンリーダー不在、組集会が出来ていないなどが推測出来る。

BS隊の現状

スカウト9 人以下の隊が44%(50 隊)、そのうち22%(24 隊)が5 人以下の隊である。県内の約半数のBS隊では一班での隊運営を行っていると思われ、 班制教育に支障をきたしていると推察される。なお、全体の1/5 が5 人以下の隊となっている。

VS隊

スカウト登録数5 人以下の隊が全体の47%(54 隊)、うち3人以下の隊が22%(26 隊)であり、隊運営などに大きな影響を与えていると思われる。

各部門とも県内の約半分の隊は少人数隊となっており、BVS隊を除く部門では 3人以下もしくは5 人以下の危機的状況となっている。これでは、適正な班制教育、進歩活動を提供するのは難しいと言わざるを得ない。

(2)外的問題点:社会的な背景、対象人口の減、構造的な問題、社会的関心の変化等
塾やスポーツクラブ、社会教育団体など様々な青少年のための活動がある中で 相対的にスカウト活動の認知度が低下しており、社会へのPRが弱く 620 万県 民へのアピールが必要である。

(3)内的問題点:この運動が抱える問題点、組織的な問題、制度的な問題等
A:中途退団

子供を中途退団させる保護者が増加している。それは現状のスカウト活動から十分な満足を得られずスカウト活動に留まる価値を見いだせなくなった ことが原因である。
スカウト活動は一貫した教育でありながら、各隊間の連携がとれず、特にボ ーイスカウト隊への上進がうまく出来ていない。「りすの道」のビーバー隊での実施や、カブ隊の月の輪組の再開など上進への道筋をたててボーイスカウトへの上進率を向上させることが重要である。 保護者にボーイスカウト活動の楽しさや良さを正しく理解してもらい、ファンを増やさなければならない。

B:入団者の減少

過去全国で 2 万人を超えた入団者が最近は 1 万人ほどになっている。 募集活動も各団で実施しており、体験入隊や説明会には多くの家族が集まるが、入団まで時間がかかったり入団にいたらないケースが増加している。

C:指導者:知識、指導力、コミュニケーション能力、教育体系
スカウト運動は教育であると言われながら、本来の教育が実施できない。
指導者の研修状況を見てみると、指導者登録数におけるWB研修所終了率は 3.6%、実修所終了率は 0.7%である。

指導者訓練のハードルが高くなって来ている中、多彩な技能と多様な訓練の機会の提供が必要である。
情熱のある指導者の発掘と養成、柔軟な発想による多彩なプログラムが提供できる指導者の養成が急務である。また、スカウトの年齢により近い若い指導者の養成と父親の力を活用できる仕組みを検討すべきである。

D:プログラム

県内各隊のスカウト数を見てみると

ビーバー隊:スカウト 5 人以下の隊が 64%、そのうち 3 人以下が 42% カブ隊:スカウト 9 人以下が 44%、そのうち 5 人以下が 22% ボーイ隊:スカウト 9 人以下が 44%、そのうち 5 人以下が 22% ベンチャー隊:スカウト 5 人以下が 47%、そのうち 3 人以下が 22%

適正な班制教育、進歩制度を提供できる環境にある隊は半数以下になっている。 隊内のスカウト数が少なく班活動、組活動が活用できないために本来のプログラムが展開できず内容も乏しくなってしまう。 特にボーイスカウト部門では班集会が出来ていないことが面白さにつながらず、スカウト間の競争がないため、自発活動の原動力となる進歩制度が活用できなくなっている。
また、団や保護者などの支援が得られない事などから、冒険的な活動も制 限され少年たちにとって魅力に富んだプログラムの展開も難しくなっている。スカウトがつらい思いをすることも必要であるが、現実はそれを実行するのも難しい。

(4)まとめ

最大の問題点は隊のスカウトの数である。半数の隊が本来のスカウト活動が出来ず、指導者もそれにどう対応したら良いか悩み、手をこまねいている状況が 続いている。

幸い県内には 115 の団がある。まず 115 の団が結束して組織の質を上げる事、 そして指導者の質を上げることによって、青少年に楽しいスカウティングを提供する。そしてスカウト活動の質を上げ、ボーイスカウトのファンを増やすこ とがこの運動の再生の道である。

3.事業計画の目的
目的

世界スカウト憲章に基づき、スカウト運動を普及し、その運動を通じて青少年の優れた人格を形成し、かつ国際友愛精神を図り、青少年の健全育成に寄与します。

使命(ミッション)

「個人の資質をのばし、地域社会と世界に役立つ青少年を育てます。」 展望(ビジョン)

スカウト運動は青少年教育の中心的役割を果たしつつ、この運動の目的、使命を達成いたします。

4.事業計画の目標

(1) あるべきすがた
団が正しいスカウティングを実践でき、独自に発展できる体制を作る。

①組織の質を上げる すべての団が班制教育を活用し正しいスカウティングが出来る組織を作る。 まずはカブ隊は 2 組、ボーイ隊は 2 班の隊つくりを目指す。

②指導者の質を上げる
楽しいスカウティングを実践する指導者を目指す。
スカウトに達成感を味あわせることのできる指導者になる。

定型訓練だけではなく、身近な支援(インサービス・サポート)が出来る体制を作り、保護者に信頼できる指導者になる。

③意識の向上を図る スカウトに熱意を持った指導ができ、スカウトの成長を見守ることによって達成感を味わえる指導者となる。

(2) 事業目標

①スカウト・保護者に対してスカウト活動の満足度向上を図る

②隊・団指導者に対して支援の充実を図る

③対外部に重点を置き、広報活動を展開する

④全組織を挙げて会員拡充に取組む

⑤地域貢献活動を推進する

(3) 数値目標

①平成 26 度年末度登録数を

スカウト 4,550 人 指導者 3,310 人 合計 7,860 人とする

②平成 27 度年末度登録数を

スカウト 5,100 人 指導者 3,340 人 合計 8,440 人とする

③平成 28 年度末登録数を

スカウト 6,000 人 指導者 3,380 人 合計 9,380 人とする

④平成 29 年度末登録数を

スカウト 6,900 人 指導者 3,500 人 合計 10,400 人とする

(4)長期的視点からの具体的な事業計画 (県連盟コミッショナー活動方針)

①スカウト・保護者に対してスカウト活動の満足度向上を図る

a 保護者・スカウトの視線にたった運営を行う

b スカウトから慕われ、保護者から信頼される指導者を育成する

(意欲と情熱のある指導者を育成する)

c スカウト教育法を十分に活用した隊活動の展開を行う

(青少年の参画、班制教育の活用、プログラムの充実) d 進歩制度・進歩課目に対する理解を深める

e ベンチャースカウト・ローバースカウト部門の活動を活性化させる

f 青少年の意思決定への機会提供を進める

(ローバース会議設立支援と全国ローバース会議との連携)

g セーフ・フロム・ハーム(チャイルドプロテクション)の導入と推進を行う

h 全ての部門に応じた国際協力・活動を推進する

②隊・団指導者に対して支援の充実を図る

a 「団・隊の活動を活性化させるアクションプラン」の推進を行う

b コミッショナー活動を通じて隊・団への支援を強化する

c 新指導者訓練体系への円滑な移行と参加者への支援を充実させる

d 成人指導者の支援体制を強化し資質の向上を図る

(インサービス・サポート、スキルトレーニングの推進) e 団委員(長)の団委員研修所、実修所への参加を推進する

③外部に重点を置き、広報活動を展開する

a ICTを活用した情報発信

(ホームページの活用、SNSの導入研究)

b 地域における広報媒体を活用しスカウト運動を効果的に認知させる

c スカウトの活動の様子、成長について、様々な機会を通じて広報する

④全組織を上げて会員拡充に取組む

a 途中退団を減らす

(基本に忠実な活動プログラムを提供する)

b BVS部門、CS部門からの上進率を向上させる

c スカウティングの素晴らしさを広く広める

⑤地域貢献活動を推進する

a より良いスカウトを育成し社会に送り出す

b 地域に根ざし、社会から認められる活動を行う

(地域との連携を推進する)

c 団・隊指導者が自ら地域社会に奉仕する機会を増やす

d 地区・団において、それぞれ地域との関係作りを行う

(行政、学校、幼稚園、PTA、青少協など) 県連盟運営委員会は本事業計画に基づき委員会の実行計画を策定する 本事業計画に基づき地区、団が具体的な実行計画を策定し実行する。

5.おわりに

スカウティングの目的と方法は正しく、今の社会の要望にも合っている。
これは仮説であるが、私達はこれが正しいと信じてスカウト運動を推進している。
社会の要望と期待に応えていくためには、努力と地道な活動が必要である。
本事業計画はそうした活動の道筋となるよう作成された。
各組織が計画の内容を具体的な行動計画に落として実行されることがスカウト運動の再生・発展に寄与するものと期待しております。

6.その他

平成 26 年 2 月に団委員長集会を開催する。
そこで中期事業計画を報告・説明し、実行に移る。